vol.01_関節リウマチ(RA)と生活習慣

関節リウマチ(RA)の基礎知識


関節リウマチ(RA)は長期の療養を要する病気であり、日常生活に大きな影響を与えるものです。
一方で、生活習慣、食事、環境などが関節リウマチの状態、治療に影響を与える事も知られています。
今回は、そのようなものを幾つか紹介したいと思います。

RAと喫煙

喫煙はRAの発症、増悪、合併症、治療反応性のすべてに関与すると考えられています。
2011年に報告されたスウェーデンでの調査の結果では、喫煙する患者さんでは治療が効きにくくなる、一方で、過去に喫煙していたが現在は禁煙している患者さんでは治療の効き方に差がありませんでした。同じ調査で抗CCP抗体というRAで大変重要な検査が陽性の患者さんの35%は喫煙が発症の原因に関与していたとの結果でした。また、スウェーデンの別の調査では、喫煙は関節外症状(肺線維症、血管炎など)の原因の一つとして重要であるという結果が出ています。
このように、喫煙はRAの発症、治療反応性、合併症などに深く関与しており、喫煙を継続する事はRA治療の上で大きな弊害です。幸いにして、禁煙する事で治療反応性に関しては改善するとの報告もあり発症後も禁煙する事には大きな意義があります。自分が喫煙する事で家族をRA発症の危険に晒す事にもなるわけですので必ず禁煙を行うべきです。RAに関してのみ記述していますが、RA以外の膠原病でも同様です。


RAと歯周病

RA治療中に歯周病の悪化などから治療に支障をきたす事を時に経験します。一方で、歯周病はRAの発症に関わっている可能性が近年示されてきています。
これまでもRAと歯周病の関連を示す報告は数多くありました。ドイツでの検討では、RAでは健常者に比べて歯周病にかかっている確率が8倍程度高いと報告されており、オーストラリアからは、RAの活動性が高いほど歯周病の重症度が高い、一般的な歯科治療中の患者に比べて歯周病で治療中の患者さんでは、慢性気管支炎、肝炎、そしてRAが多いなどの報告がされています。RAで歯周病が多い理由としては、関節機能の低下により十分な口腔ケアが出来なくなる事や、免疫抑制療法により歯周病が悪化してしまう可能性なども考えられますが、何らかの関与はありそうです。一方で、歯周病菌の研究の中で歯周病があることにより抗CCP抗体という自己抗体が産生されやすい環境が出現しRAの発症の素地を作るのではないかという仮説が提唱されました。また、歯周病があるとRAの活動性が高くなりやすいと考えられています。実際、歯周病の治療によりRAの病状が改善するとの報告もあります。また、RAの免疫抑制療法を行っていく過程で、知らぬ間に歯周病の悪化を認めることもあります。歯周病はRAの発症から治療反応性、合併症まで幅広く関与していると考えられ、早期からの定期的な歯科検診、メンテナンスが重要と考えられます。


関節リウマチと食事

食事に関しては特にどの食材がいいとか、悪いとか、はっきりしたものはありません。効果の証明された健康食品などもないので、広告につられて無駄な出費をする事のないように気をつける必要があります。RA治療で最も重要なメトトレキサートの使用に関しては、内服日に葉酸を多く含む食品を摂ると効果を邪魔するため控える方がよいとされています。しかし、必要以上に神経質になる必要はありません。バランスの取れた食事を心がける事が最も大切です。その他、カフェインの摂り過ぎもメトトレキサートの抗炎症作用を阻害するとされていますので、メトトレキサート内服日はブラックコーヒーで2杯程度にしておいた方がいいでしょう。緑茶、紅茶、カフェイン入りガムなども摂りすぎは控えたほうが良いでしょう。
過度の体重の増加は股、膝、足関節の荷重の増加、関節破壊につながり、また、体重により投与量が変わる薬剤もあるため体重が重いと医療費も高くなります。さらに生活習慣病の発症リスクを高めます。やはりバランスの良い食事を取りカロリーの摂り過ぎに注意するという事が最も大切です。
関節リウマチ・膠原病の治療は確かに進歩し、より強力なものとなっています。それらを安全に継続していく事が大切であり、さらには、より軽い治療で十分な効果を得ることが出来ればそれに越した事はありません。生活習慣の改善、禁煙、歯科治療や日々の口腔内のメンテナンス、蓄膿症など慢性感染症の定期的治療など、病気の有無に関係なく健康的な生活のために有用と考えられることを行う事で、病気の活動性が抑制され、合併症が減り、治療効果が得やすくなるでしょう。寛解を目指して治療しつつ、診断された時点で自分が出来る事としてそれらを実践してみてはどうでしょうか。同時に現時点で自分にかかっているストレス因子を除去していく事も重要です。治療で症状が改善傾向となってきたら気の合う友人と関節に過度の負担のかからない範囲で小旅行に行くなどの気晴らしを行ってみて下さい。そこには痛みを感じにくくなっている自分がいるかもしれません。


リウマチ・内科・銀山町クリニック_山名二郎先生



東広島記念病院
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