Vol.17_知っておきたい!熱中症対策

広島市薬剤師会レポート_vol.17_知っておきたい!熱中症対策


温暖化の影響もあり、近年我が国における熱中症の死者数は増加傾向にあります。
中でも子どもと高齢者の割合は高く、日頃から様々な注意が必要です。
今回は、本格的な夏を前にして、そんな熱中症対策についてお話しします。

熱中症のメカニズムと症状

 私たち人間の体は、体温が上がっても汗をかくことや皮膚温度が上昇することで体温を外へ逃がす仕組みになっていて、体温調節が自然に行われるメカニズムを備えています。しかし、気温が体温よりも高くなると、大量の発汗によって水分や塩分が失われ、血液中の水分を奪い、汗が出なくなったり臓器に流れる血流量に悪影響を与えてしまいます。さらに湿度が高いと汗も蒸発しなくなり、発汗による体温調節ができない状態に陥ります。熱中症とはこのように、体温調節の機能がコントロールを失い、熱がどんどん体の中に溜まってしまって引き起こされる機能障害なのです。要因としては気温が高い、湿度が高いといった環境要因の他にも、体調が悪い、高齢者・乳幼児といった身体的要因、激しい運動や水分補給できない状況などの行動要因が挙げられ、それらが重なるとより症状が出やすいと言えます。
 そもそも「熱中症」とは、暑い環境で生じる健康障害の総称で、次の4タイプに分けられます。①「熱失神」暑さで血管が広がり、血圧が低下し、脳血流が減少して起こります。めまい、顔面蒼白、一時的な失神などが特徴です。②「熱けいれん」大量に汗をかき水分だけを補給した場合に、血液中の塩分(ナトリウム)濃度が低下して起こります。足・腹部・腕などに筋肉痛やけいれんなどが生じます。③「熱疲労」大量の発汗によって水分の補給が追いつかないために起こる脱水症状です。全身倦怠感、悪心・嘔吐、頭痛などが見られます。④「熱射病」熱疲労がさらに悪化し、中枢機能に異常をきたした状態です。意識障害やふらつきをはじめ、死亡に至るケースもあります。



熱中症になったら

 以上のような症状が出たら、適切な応急処置が大切になります。まず「熱けいれん」ですが、生理食塩水(0.9%の食塩水)の補給で通常は回復します。「熱失神・熱疲労」に関しては、涼しい場所に運び、衣服をゆるめて寝かせ、水分を補給することで通常は回復します。「熱射病」の症状は緊急事態なので、一刻も早く救急車を呼び病院へ運ぶことが重要です。加えていかに早く体温を下げるかがカギになってくるので、首筋、脇の下、太腿の付け根などを優先的にアイスパックなどで冷やしましょう。



普段からできる熱中症対策

 「喉が乾いた」と思った時には、体の水分はすでに失われ過ぎていると言われます。そのため、普段からこまめな水分補給が大切です。しかし、一度に大量の水を摂取すると、かえって体内の電解質バランスを崩してしまいかねません。『OS-1』に代表される経口補水液は、水分と塩分を速やかに吸収・補給できるようにバランスを調整した飲料なので、たくさん汗をかいた時は経口補水液で水分と塩分を両方補給するようにしましょう。また、経口補水液は自宅で作ることもできます。緊急時の簡単な方法として覚えておいてください。割合は、水1リットルに対して、塩3グラムと砂糖40グラム。この分量を水が透明になるまで混ぜて溶かします。飲む時は一気に飲まず、ゆっくり時間をかけて飲むようにしてください。
 「ちょっと体調が悪い」と思っている間に症状が進んでしまうのが、熱中症の危険なところです。室温が28度を超えないようにエアコンなどを活用し、外出時にも日よけ対策と適度な休憩を心がけましょう。特に高齢者は体の反応が鈍くなっているので、周囲の人のサポートが大切です。なお、高血圧の人などは経口補水液を飲む際に、注意が必要なケース(ナトリウムの摂りすぎ等)もありますので、医師・薬剤師へ相談し、これからの夏本番を乗り切りましょう。



薬剤師会_DATA