Vol.27_抗生物質(抗菌薬)の適正使用について

広島市薬剤師会レポート_vol.27_抗生物質(抗菌薬)の適正使用について


「風邪をひいてしまったから、病院で抗生物質をもらおう…」
もしもあなたがそんな風に思っているなら、要注意です!
今回は、絶対に知っておきたい抗生物質のお話しです。

世界的問題の「薬剤耐性」

 今、世界中で問題となっているのが「薬剤耐性」と呼ばれるものです。薬剤耐性とは、抗生物質(抗菌薬)の使用により元々私たちの体内にいた抗生物質の効かない「薬剤耐性菌」だけが残り、さらにそれが増えるため、次第に抗生物質が効かなくなったり効きにくくなったりすることです。それまで抗生物質を飲めば治っていた感染症が治りにくくなったり他の病気の治療に影響するおそれがあり、現在、薬剤耐性によって年間70万人が死亡しています。このまま対策を取らなければ2050年には1000万人が死亡すると予想され、がんの死亡者数を上回る可能性すらあるのです。また、抗生物質は動物の医療や畜産・水産・農業など多くの分野で使用されているため、薬剤耐性菌が食品や環境を介して人に広がる可能性もあるため、近年世界各国で抗生物質の使用に関する厳格なルール作りが進められています。抗生物質の使用割合が他国と比べて極めて高い我が国でも、2016年に「薬剤耐性対策アクションプラン」が策定されました。


風邪に抗生物質は効かない

 細菌とウイルスは、人や動物に感染症を引き起こす微生物の代表格ですが、大きさや構造、増え方が異なります。そして抗生物質が効くのは、このうち細菌に対してのみです。つまり、ウイルス性の感染症である風邪(感冒)やインフルエンザには、抗生物質は効かないのです。

抗生物質が効く病気例
◦耳や腫瘍性の感染症 ◦皮膚感染症 ◦髄膜炎 ◦レンサ球菌性咽頭炎 ◦膀胱・腎臓などの感染症 ◦細菌性の肺炎
抗生物質が効かない病気例
◦風邪 ◦インフルエンザ ◦咳 ◦気管支炎 ◦咽頭炎 ◦胃炎

 ただし、中等〜重症の急性鼻副鼻腔炎やA群溶連菌による急性咽頭炎、百日咳に該当する急性気管支炎については、症状によって必要な場合があるので、診察を受けた医師の指示に従うようにしましょう。


抗生物質の正しい飲み方

 まず、診察時には症状を詳しく医師に伝えましょう。処方された抗生物質は医師の指示通りに最後まで飲みきってください。とっておいて後で飲んだりしてはいけません。また、抗生物質はその人の症状や体質・年齢などを考慮して処方しているため、処方された薬はあげたりもらったりしてはいけません。他の薬やサプリメントとの飲み合わせにも注意しましょう。その他わからないことがあれば、医師や薬剤師に相談してください。


まずは感染予防が大事

 いざという時に〝抗生物質が効く体〟であり続けるためにも、一番大切なのはやはり感染を予防して病気にかからないことです。その基本は手洗いです。私たちが感染する病原体の多くは、まず手に付着し、その手で鼻や口などに触れることによって病原体が体内に侵入して感染が成立します。ですから指と指の間やツメなど、こまめで念入りな手洗いを心がけましょう。また、病原体に対して免疫を獲得し、その病原体が体に侵入しても病気になりにくく症状も軽くすむようになるため、ワクチン接種も有効な感染予防対策です。その他マスクの着用など咳エチケットも意識しましょう。
 これから風邪やインフルエンザが流行する季節です。しかし、いずれもウイルスによって引き起こされるため抗生物質は全く効かないということを念頭に、感染予防を心がけてください。気になることは気軽に医師・薬剤師に相談してみましょう。


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