Vol.26_「フレイル」を知っていますか。

広島市薬剤師会レポート_vol.26_「フレイル」を知っていますか


超高齢化社会を迎えた日本。高齢者の多くは、「フレイル」と呼ばれる
時期を経て、次第に要介護の状態へ移行すると言われています。今回は、
要介護にならないために読んでおきたい、「フレイル」についてのお話しです。

「フレイル」ってなに?

 「フレイル」の語源は英語で老衰や虚弱を意味する「Frailty」で、〝正しく介入すれば元に戻る〟というイメージを込めて、2014年、日本老年医学会によって提唱されました。加齢とともにストレスに弱くなり、身体的機能や認知機能の低下がみられる状態のことを指し、健康な状態と要介護状態の中間に位置します。その側面には、友人づきあいの減少や孤食などの「社会性の衰え」と、日常生活に必要な身体能力が低下したり低栄養につながる機能低下などの「身体の衰え」、何もする気にならない「心・認知の衰え」の3要素があり、これらがお互いに影響し合い悪循環を起こすことで徐々に介護が必要な状態になると考えられています。また、フレイルの状態になると風邪をこじらせて肺炎を発症したり、怠さのために転倒して打撲や骨折をする可能性があるうえ、それらをきっかけに入院し、寝たきりになってしまうこともあります。
 一般的に、フレイルの基準には以下のものがあり、5項目のうち3項目以上該当するとフレイル、1〜2項目の場合はフレイルの前段階であるプレフレイルと判断します。

①体重減少:意図しない年間4.5㎏または5%以上の体重減少
②疲れやすい:何をするのも面倒だと週に3〜4日以上感じる
③歩行速度の低下
④握力の低下
⑤身体活動量の低下


こんな状態にも要注意!

 フレイルの主な原因にあげられるのが「低栄養」と「サルコペニア」です。サルコペニアとは、加齢に伴い全身性に進行する筋肉量と筋力、身体機能の低下を指します。サルコペニアを起こすと→身体機能低下→活動量低下→エネルギー消費量低下→食事量低下→低栄養→サルコペニアと、「フレイルサイクル」と呼ばれる悪循環へ陥ってしまいます。
 この他にも、筋肉や骨、関節といった運動器に障害が起こり、立つ・歩くなどの機能が低下する「ロコモティブシンドローム」や、滑舌が悪くなったり、食べこぼし、むせる、噛めない食べ物が増えるといった「オーラル・フレイル」にも注意が必要です。


健康に戻れる可能性がある

 要介護手前の状態を指すフレイルですが、可逆的、つまり健康に戻れる可能性のある段階でもあります。だからこそ、その兆候に気づいたらなるべく早く適切に対処し、今より悪くならないように維持、さらに改善へとつなげていくことが重要です。では、フレイルの予防に大切なことは何でしょう。

◦バランスのよい食事:筋肉を増やすためにはタンパク質の摂取が肝要です。ビタミン・ミネラルなども含めバランスのとれた食事を心がけましょう。
◦社会とのつながり:孤食を避け、家族や友人と食事する機会を増やしましょう。地域のイベントにも積極的に参加を。
◦適度な運動:筋肉に抵抗をかけるレジスタンス運動やウォーキングなどを、無理のない範囲で行いましょう。

 以上の3点が特に気をつけるべきポイントです。中でも社会とのつながりをなくすことは、フレイルの最初の入口になりやすいとされています。この他、多種類(目安として6種類以上)の薬を服用している人は、薬の副作用により活動力低下や味覚障害が現れる場合があります。必ず医師や薬剤師に相談してください。だからこそお薬手帳やかかりつけ薬局による薬の一元管理も大切です。
 フレイル予防には周りのサポートも欠かせません。家族や知人にフレイルの兆候が出ていないかを確認し、速やかにフレイルサイクルの悪循環を断ち切りましょう。


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