Vol.25_知っておきたい認知症の知識

広島市薬剤師会レポート_vol.25_知っておきたい認知症の知識


長寿大国日本。今なお進み続ける高齢化社会の中、
認知症は家族そして自分自身にとって、より身近な問題になってきています。
今回は、そんな認知症についてのお話しです。

そもそも認知症とは

 認知症とは、一度正常に達した認知機能が後天的な脳の障害によって持続的に低下し、日常生活や社会生活に支障を来すようになった状態と定義されます。誰でも加齢と共に物覚えが悪くなったり人の名前が思い出せなくなったりしますが、こうした物忘れと認知症は別物であり、また認知症は何らかの疾患によって起きる症状・状態の総称を意味します。平成24年時点において、65歳以上の高齢者の約7人に1人が、認知症の前段階と考えられている軽度認知障害も含めると約4人に1人が有病者であると推計され、今後も増え続けると考えられています。
 認知症の種類は多岐に渡りますが、主なものとして、みなさんもよく耳にされる「アルツハイマー型認知症」や「脳血管型認知症」「レビー小体型認知症」が挙げられます。その他にも、パーキンソン病や脳梗塞、脳腫瘍、腎不全、肝不全、心不全、アルコール中毒、薬物中毒、糖尿病などの生活習慣病といった様々な疾患が認知症を引き起こす原因とされています。その症状としては、新しいことを覚えられない「記憶障害」や物の名前が出てこない「失語」、いつ・どこ・誰がわからなくなる「見当識障害」、段取りが立てられない「実行機能障害」などの中核症状と呼ばれる認知機能障害があり、それらに随伴するように、徘徊、猜疑心、幻覚、うつ、食行動異常、暴言・暴力といった行動・心理症状(BPSD)が表れてきます。


認知症の薬について

 認知症の薬には、99年の発売以来、国内唯一の認知症治療薬として使われてきたアリセプト(ドネペジル)、国内において2番目に発売されたレミニール(ガランタミン)、認知症治療薬のなかで唯一の貼り薬として誕生したイクセロンパッチ/リバスタッチパッチ(リバスチグミン)、他の中核薬と併用が可能なうえ、他とは異なる作用機序を持つメマリー(メマンチン)の4剤がありますが、現在、認知症を根治する薬は存在せず、これらの薬はいずれも症状の進行を遅らせるためのものです。しかし、適切な薬物療法によって良い状態をキープできることは、本人はもとより家族や介護者にとっても負担軽減につながります。逆に、数値として改善値を確認できない薬であるがゆえ、途中で服薬をやめてしまうと、一気に無治療の状態まで症状が悪化してしまう可能性があります。そして悪化後は、服薬を中断した以前の状態に戻ることは難しいとされています。


「認知症かも」と思ったら

 どの疾病もそうですが、認知症においても肝要なのは〝早めの受診〟です。認知症と見分けがつきにくいとされる老人性うつであったり、服用している薬の副作用で認知症に似た症状が一時的に出ていたりと、認知症の判断は一般の人には難しいもの。ですから、きちんとした判別をつけるためにも早めの受診が大切なのです。ちなみに認知症の中には、正常圧水頭症や慢性硬膜下血腫、脳腫瘍、栄養障害、薬物・アルコール中毒など、治る認知症もあります。受診に際しては、15分程度で簡易検査が可能です。また、精神科に抵抗があるなら「オレンジドクター」を掲示している医療機関での受診もおすすめします。〝内科受診のついでに相談してみる〟という形もとれるからです。もちろんより詳しく知りたいなら、最寄りの認知症疾患医療センターを受診してみてください。
 認知症は誰しもが罹りうるものです。だからこそ正しい知識を持ちましょう。近年、白内障治療や生活習慣改善によってQOLが向上したという報告もあります。まずは健康的な生活を心がけ、気になることはお気軽に医師・薬剤師にご相談ください。


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