Vol.23_インフルエンザの治療薬について

広島市薬剤師会レポート_vol.23_インフルエンザの治療薬について


今年もインフルエンザが流行する季節がやってきました。
まずは罹らないように注意することが大前提ですが、
今回はもし罹患してしまった場合の治療薬についてお話しします。

そもそもインフルエンザとは

 インフルエンザは、インフルエンザウイルスを病原体とする急性の呼吸器感染症で、日本では例年11月〜12月頃に流行が始まり、1月〜3月にピークを迎えます。風邪の多くが発症後の経過が緩やかで発熱も軽度であることに対して、インフルエンザは約1日〜3日の潜伏期間ののち、38℃以上の突然の高熱を伴って発症し、全身倦怠感や食欲不振などの全身症状が強く現れます。また、関節痛や筋肉痛、頭痛も主な症状で、肺炎や脳炎を合併して重症化することもあります。合併症を起こしやすい高齢者やインフルエンザ脳症発症の恐れがある乳幼児は特に注意が必要です。
 そんなインフルエンザの予防に効果が期待できるのがワクチン接種ですが、効果が出始めるのは接種2週間後程度なので、流行前、早めにワクチン接種をするように心がけましょう。なお、ワクチン接種は罹患予防のみならず、罹患後の重症化を防ぐ効果もあります。この他、免疫力を高めるための十分な休養とバランスのとれた栄養摂取、帰宅後の手洗いなども大切です。さらに、飛沫感染対策としてマスクを着用したり、人混みを避けることも有効な防御策と言えます。


インフルエンザの治療薬

 それでもいざインフルエンザに罹ってしまったら、速やかに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが肝要です。インフルエンザの症状を改善するには、体内のウイルスの増殖を防ぐ「抗インフルエンザウイルス薬」を服用します。発症後すぐに使用すると、発熱期間が1日〜2日短縮され、症状も徐々に回復してきます。いずれも薬の作用としては、「ウイルスをそれ以上増殖させない」、「症状の悪化を防ぐ」というもので、ウイルス自体を直接死滅させるものではありませんが、インフルエンザウイルスの量は2日〜3日で急激に増殖(1個のウイルスが1日で100万個に増えると言われています)するため、発症後できるだけ早く使用しなければなりません。
 外来治療の代表的な薬としては、「タミフル」、「リレンザ」、「イナビル」が挙げられます。タミフルは世界で最も使用されている薬で、1日2回、5日間経口投与する飲み薬です。最初に登場した薬のため重症例に対する実績も豊富で、後述する吸入薬を正しく吸入できない患者さんに処方される場合もあります。リレンザは1日2回、5日間専用の吸入器を用いて吸入する薬です。吐き気がある場合や、喉の痛みが強くカプセルが飲み込めない場合でも問題なく使えます。イナビルはリレンザ同様の吸入薬ですが、2容器を1回分(10歳未満は1容器で1回分)として吸入すれば1回で治療が終わることが最大の特徴です。ただし、吸入薬の場合は、適切に吸入できなければその効果も正しく発揮されません。薬剤師の指導のもと、正しい吸入を行ってください。
 現在では、妊婦の罹患者にも積極的な治療が推奨されています。また薬服用の有無に関わらず、インフルエンザ発症後に小児・未成年者に異常行動などの精神・神経症状が発現することがあります。診断後、少なくとも2日間は就寝中も含め小児・未成年者を1人きりにさせないようにしましょう。


周りに感染させないために

 薬を服用し熱が下がっても、体内のウイルスがいなくなるわけではありません。インフルエンザの感染力はしばらくの間残っているのです。症状が改善したからといって薬の服用を途中でやめたり、元気になったからといって外出するなどの行為は絶対に避けてください。みんなが予防・治療への認識を高めることが、流行への予防策でもあるのです。


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