Vol.35 株式会社アイグラン 代表取締役 重道 泰造さん

Vol.35_重道泰造さん
株式会社アイグラン 代表取締役 重道 泰造さん

【プロフィール】
1964年生まれ、広島市出身。早稲田大学法学部卒業後、商社に就職し充実した日々を送るも、地元広島に戻り「アイ貸テレビ」を継ぐことに。売上は好調だったものの時代の先を見据え、商社での豊富な海外経験からスーツケースのレンタル業を始める。大手旅行会社など全国に販路を拡大する中、2001年アメリカ同時多発テロにより飛行機が飛ばず売上がゼロに。雇用を守るため、有事にも強い事業を模索してスタートさせたのが病院での院内保育事業だった。しかし当時は企業内保育という概念もほぼない時代、小泉内閣時に株式会社の参入が認められたものの、営業活動は空振りの連続だったそう。その後は“保育サービス業”として自社ならではの取組みやサービスを展開。2019年2月1日現在、全国に認可保育園63園、公設民営型暫定保育室1園、県委託託児事業4カ所、放課後児童クラブ5カ所、指定管理1カ所、企業主導型直営保育園25カ所、事業所内保育園300園、計397園を運営中。各地を飛び回る多忙な生活だが、たまの休みに家族と出かけるのが大好きという一面も。



仮説と検証を繰り返しながら、
保育業界全体が幸せになる道を見つけたい。



自分が預けたいと思う園づくり

 認可保育園や事業所内保育園など、北は青森から南は鹿児島まで全国約400の園を束ねる重道さん。今ほど声高に待機児童問題が叫ばれる前から保育業界で試行錯誤を繰り返してきた人です。信条は「相手の立場に立つこと」。もしも自分が親なら、子供ならどんな保育園にしたいか、迷った時こそいつもそこに立ち返ります。例えばWEBカメラの設置。普通は見られない方が都合が良い園内にカメラを設置することで、離れて仕事をする保護者が子供の様子を確認し、安心感を得ることができます。例えば食育。認可保育園は全て自園調理で、天然出汁にこだわります。調理室をガラス張りにして子供たちが中の様子を伺えたり、あえて強化磁器の食器を採用し物を大事にしないと割れるということを教えたり、現実なかなか食育にまで手が回らない家庭も多い中で、少しでも保護者に寄り添える方法を考えます。「正直、経営面から言えば経費と手間がかかりますが、そんな時こそ相手の立場に立ちます。保育園は利用者様のためにあるもの、我々が行っているのは“保育サービス業”ですから」。



保育の担い手を育てるために

 業務拡大にありながら、直面しているのが業界全体の問題でもある保育士不足。認可保育園は待機児童が多く、自社社員ですら預けられない状況も。そこで開設したのが社員向けの企業主導型保育園でした。その数実に25園、しかも社員は保育料が無料という大プロジェクトにも、「何より保育士たちが大事な存在だから」とキッパリ。また、一部園では乳幼児の睡眠中の呼吸の有無などをセンサーで検知するシステムを導入し、睡眠中の事故を防ぐばかりか保育士の心理的プレッシャーの緩和にも役立てているそう。県のIoT実証プラットフォーム事業でもあるこのシステムは、いずれ自社以外の園でも導入しやすいようレンタル化を整備し、業界全体の問題に取り組んでいきたいと意気込みます。他にも、良い事例を共有したり励まし合える園長塾を実施したり、お互いの良いところを伝え合う昼礼を行ったりと、働きやすい環境を作るために様々な取組みを行う重道さん。「今はまだ答えのない保育士不足に対しても仮説と検証を繰り返し、数年後、自社社員も業界全体も幸せになっていることが目標です。大変だし体力も使いますが、誰かがやらなければ」。保育にかけるその熱が、この国の未来を育てていきます。





メンタルヘルス講師の資格も取得

多忙な日々の合間を縫ってメンタルヘルス講師の資格も取得。「人生1回、これと決めた道でやり切りたい」と語る重道さんの上昇志向は止まることを知りません。



自身がオーナーを務める「エニタイムフィットネス広島庚午店」

自身がオーナーを務める「エニタイムフィットネス広島庚午店」にて。マシンも内装もこだわり抜いた空間で、自らもトレーニングに励みます。