Vol.21 南宗画士 岡原 大崋さん

南宗画士 岡原 大崋さん
南宗画士 岡原 大崋さん

【プロフィール】
1961年生まれ。廿日市市出身。
小学4年生の時に読んだ雪舟の伝記に衝撃を受け、以来、
水墨画の世界へ。松浦晴峰、松島棗里、渡瀬凌雲らに師事し、
若くして花開いたその才能は、19歳で弟子を持つほど。
コンクールでの入選入賞多数、また数多くの個展も
開催している。現在は「南画游神会」「東方水墨画協会」を
主宰し、広島と東京に約110名の生徒を抱える。


五十を過ぎたら余生。自分とは何かを見つめる 自分のための時間。

伝統文化の担い手として

 幼少期より絵が好きで、しかし雪舟の水墨画に魅せられて以来、その道を進み始めたという南宗画士・岡原大崋さん。当時まだ齢10歳、その頃から将来はプロになることを意識していたといいます。岡原さんの描く南画とは、中国の南方で興った、風雅美を大切にした柔らかな描き方が特徴の画派。岡原さんは当初からその南画の研鑽に励み、画壇の脚光を浴びてきました。また、指導にも興味があったという岡原さんは現在、教室運営を主な生業とし、多くの生徒を抱えています。「才能というものは別にして、私は南画が好きでした。戦争を経て南画は過去の文化となってしまいましたが、私がそうであったように、そうした過去の文化も誰かが復活させてくれるかもしれない。そこにあるのは〝好き〟という強い気持ちです。私はいま、一人の伝統の担い手として、自分のこのような思いをせめて死ぬまでに一人、受け継いでもらいたいなと思っています」。



人生五十を過ぎて思うこと

 「50歳を過ぎたら余生」。前々からそう思っていたという岡原さんは、50歳を機に様々な役職や肩書きを手放してきました。余分な欲が削げ落ち、自分の時間を自分のために使おうと決めたのだそうです。そこには、絵を描く行為を通して自分でも知らなかった自分自身を発見していこうとする、岡原さんならではの人生観があります。「働くことで自分を高めていける仕事でなければ、それは単なる作業になってしまいます。私は絵を描くことで自己を高め、自分が何者であるのかを見極めたいんです。50歳を過ぎて、どんどん自分自身に沈んでいっているような感覚ですね」。落語の寄席で、あるいは寿司屋のカウンターで、多様な空間と多様な時間から、自分自身を確認し、自分自身の絵を考える。そうした日々の中で、最近になって思うことがあるそうです。「この頃やっと、絵を描くのが好きになってきました。今度はあれを描こう、次はこれを描きたい…と。いまは絵を描くことが趣味だって言えますね」。そういって笑う岡原さんの周りには、余生と呼ぶにはあまりにも濃く実りある時間が、滔々と流れているように思えます。





「現代水墨画入門(左)」「新・掛軸の描法(右)」

著書に、「現代水墨画入門(写真左)」
「新・掛軸の描法(写真右)」「新・牛を描く」
「新・ねずみの描法」などがある(いずれも秀作社出版)。


「錦風孔雀図」

「錦風孔雀図」