Vol.11 武田民謡学院・院長
武田 天雅さん

武田民謡学院 院長 武田 天雅さん

武田民謡学院・院長 武田 天雅さん

【プロフィール】
1943年生。満州新京出身。
22歳で広島民謡界の草分けである石山天山師匠の入門し、
5年後、「民謡みやび会」を結成。
32歳の時に民謡プロに転向。
その後、NHKのど自慢専属伴奏を約30年担当(中国地方)。
音戸の舟歌研究会会長。フラワーフェスティバル審査員。
現在、武田民謡学院で民謡、唄、尺八、横笛を
初心者からプロ希望者まで幅広く指導している。
趣味は民謡とゲームセンター。


民謡は日本人の心の原風景を喚起してくれる懐かしい音楽

 二十歳まで歌は嫌いだったね」。いたずらっ子のように笑う武田天雅さんは、広島の民謡界をリードしてきた尺八奏者の名人です。
 NHKのど自慢で約30年伴奏を続け、天雅笛と呼ばれる横笛を自ら制作し、地元広島の郷里をつづった新民謡の作詞作曲を手掛け、武田民謡学院ではお弟子さんに民謡の素晴らしさを指導されています。


 きっかけは健康のために始めた山歩きでした。毎日、近所の山を散歩しながら当時好きだった三橋美智也の民謡を大声で歌っていた武田さん。山々に響くその声に、近所の人からは気のふれた人だと勘違いされたとか。その後、社内旅行のバスの中で歌を披露したことが縁で、社内に民謡部を新設することになります。
 伴奏者が必要ということで、広島の民謡界の草分け的存在の石山天山師匠に入門し、そこで尺八と出会います。「常にそばに置いていてね。練習したら民謡部で直ぐに伴奏という具合だったから、上達も早かったね。ある日、仕事中に倉庫で歌っているところを上司に見つかって、怒られると思ったら『がんばりんさい』と声を掛けられた。あれには参ったよ」。その後、プロに転向し、本格的に民謡の世界へと足を踏み入れていきます。
 NHKのど自慢の伴奏では、全国放送という緊張と、生放送中ずっと舞台に座り続ける状況に置かれて、よく失敗したと当時を振り返る武田さん。「プロは良い演奏をして当たり前、50年やってきて、失敗した時のことの方がよく覚えているよ」。 その眼差しにはどんな場面でも最高の演奏をするというプロの矜持が感じられます。


 他にも、地元広島の素材を使って作詞作曲される新民謡も大切なライフワークの一つです。その可愛らしい曲は、色々な発表会でお弟子さんによって歌われ、多くの人の心に郷愁を呼び覚ましています。また、武田さんが作る天雅笛は透き通る音色と女性でも気軽に吹けると評判で、自ら竹林で竹を選び、一つひとつ丁寧に調律しながら作っていきます。
 現在、日本人の心を持ち続けてほしいという思いから、天雅笛を小学校へ少しずつ寄付しているそうです。「歌を歌うと元気になって、生活にハリが出てくる。民謡にふれることで日本人としての心もより豊かになるよ」。

 骨太の中にも繊細な表情の見える演奏には、いつまでも変わらない少年のようなピュアな心が宿っています。





3年毎に行われる武田民謡学院の発表会

3年毎に行われる武田民謡学院の発表会。
昨年6月に開催され250人が参加しました。
民謡や子どもによる演奏、歌謡曲までお弟子さん達による
盛大な発表会となりました。


自ら制作する天雅笛

自ら制作する天雅笛は、
透き通る音色と女性でも気軽に吹くことができると評判です。