Vol.7 株式会社序破急
代表取締役社長 蔵本 順子さん

株式会社序破急 代表取締役社長 蔵本 順子さん

株式会社序破急 代表取締役社長 蔵本 順子さん

【プロフィール】
1950年生。広島市中区出身。
個性的な4映画館の経営にあたり、街中から映画館が
消えていくことを憂い、2011年11月、街の活性化を目的に
「八丁座」をオープンさせた。
趣味は日本舞踊。(師範名 花柳比呂彦 「彦の会」会主)
広島県文化振興基金委員、
広島国際アニメーションフェスティバル組織委員、
広島県興行生活衛生同業組合理事長 他


街中には特別な賑わいがあります。
そこには映画館が絶対に欠かせません。


 序破急の「序」は忠実にゆっくりと、「破」はそれを破り個性を出して、「急」は急展開、ドラマチックに…。映画そのものの名前を社名に付け、サロンシネマなど映画ファンのための映画館という概念を定着させ、「人々を励ます映画館を広島の中心につくりたい」と1年前に福屋八丁堀本店8Fに「八丁座」をオープンさせた、自ら映画ファンかつ広島ファンと銘打つ蔵本順子さん。その業績とは裏腹に「日本映画が大好き。高倉健さんの大ファン」と瞳を輝かせてその妙味を語る蔵本さんの半生は映画とともにありました。


 実家でもあったサロンシネマは当時、日本一シートの広いイスとして話題を集め、その特長は八丁座にも受け継がれています。「父のアイデアで、八丁座をつくる時も主役はイスだと思い、最初に取り組みました」。
 地元家具メーカー・マルニ木工の職人によって作られたイスは幅85㎝のゆったりしたもので、「私の要望をくみ取りながら誇りを持って仕事をして下さったおかげで、他の方も追随して、まるで1本の映画をつくっているようでした」。もう一つの顔、松の襖絵も京都の東映撮影所から譲り受けたものです。「何百本もの映画に出演してきた映画の魂が宿る襖絵を絶対に置きたかったんです」。
 一切の妥協を許さない映画館づくりの背景には、中心部の老舗映画館が相次いで閉館し、街中から火が消えていくことに対する危機感と、広島の街を元気にしたいという強い思いによるものでした。「オープンまで苦しいながらも楽しい日々でした。まず私が楽しまなければ、お客様も楽しくないでしょ。どうせ破れかぶれの大借金なんだから、やりたいことをやろう!最初からあきらめない!!すべて映画から学んだことです」。
 開館前に開いた記者会見では多くのマスコミを賑わせ、広島に明るい話題を提供してくれました。また開館後は、何十年も映画館から遠退いていた団塊世代が訪れるようになり、県外からのお客様も多いのだそうです。


 「私は一度も海外へ行ったことはありませんが、毎年映画で30カ国近く旅をしています。そこには必ず発見があり、知らない世界を教えてくれます。映画からパワーをもらって、やりたいことを見つけて下さい。きっと日々が楽しく豊かなものになりますよ」。日本舞踊が生き甲斐とおっしゃる蔵本さんの姿に、スクリーン上で躍動する映画人の輝きが重なります。





八丁座の主役であるマルニ木工さんのシートが並ぶ館内

八丁座の主役であるマルニ木工さんのシートが並ぶ館内。
選べるソファシートが2タイプ。
ほかにも畳席やカウンターのお席と遊び心満載。
八丁座の名物にと壮観さを出すため、壁には提灯をならべる。
予告編を上映中にも灯ります。和モダンの象徴。

八丁座一周年記念に京都から駆けつけた舞妓さんが舞を披露

2011年11月、八丁座一周年記念に八丁座の顔である
松の襖の前で京都から駆けつけた舞妓さんが舞を披露。